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日々のコト

イタリア トスカーナへの旅③

イタリアの食といえばスローフード発祥の地というので、イタリアに行く前に少し調べたところ、
1980年代半ばに、ローマのスペイン広場にマクドナルドが開店したことをきっかけに、イタ
リアの食文化を守ろうという考えでできたとのこと。今では日本やアメリカなどにも広がってい
ますが、基本は地元でとれる旬な食材を大切に食べきること。家庭のマンマから代々受け継がれ
るその家、その地方の味を大切に伝えることとありました。
コープやスーパーなどの食材売り場を見ると、旬の野菜や果物が山と並んでいて、それをカート
いっぱいにして買っていく。トスカーナのキッチンを垣間見る思いでした。
キノコ類を探していたら、キノコは8月末くらいから出回るのでまだないんです、と言われこれ
もスローフードかと思いました。
肉類はさすがの狩猟民族、もとの姿に近いかたちで並んでいます。イノシシもうさぎも、そして
森ではハリネズミまでも食べられてしまうそうです。中世から続く食文化が根強く残っていまし
た。
中世から続くといえば、森の木の管理や土地の境界線や農作物の作付など中世の頃の決まりが
イタリアではいまだに基本として残っていて、森や畑を守っている。そしてこれがスロ-フード
を支えています。
トスカーナの森でスローライフを目指して暮らし始めた娘たち。彼らの食や生活の姿を通して、
私たちもまた少しスローな生き方を理解できたような気がします。
イタリアの人や暮らしのことをもっと知りたいと思うトスカーナの旅でした。

ロッカルベーニアの小さなホテル
朝、ロッカルベーニアの岩壁を散歩して帰ってきたら、ホテルの前庭でイタリアの朝食の定番、
甘い焼き菓子(トルタ・クロスタータ)が用意されていました。自家農園のフルーツを使い、ジ
ュースもジャムも煮リンゴ入りの焼き菓子もすべて手作りとのこと。
花柄のグラスとマットの色使い。決して子供っぽくなく、優しく、空の青さとメニューにぴったり。
一日の始まりが嬉しくなる朝食をいただきました。





ロッカルベーニアのお肉屋さん
新鮮でおいしいお肉を売っているお店と評判で、遠方からも買いに来るそうです。本場自家製
サルシッチャを初めて使ってスープやパスタの具に調理、香辛料と塩の加減がさすがでした。
目の前でお肉やハムの厚さを聞いて切ってくれます。今では日本ではあまり見かけなくなって
しまいましたね。



VINOワイナリーオーナー ロメオさん(84歳)を訪ねて
有機栽培のブドウで作っているワインとしてマレンマ地方で親しまれているワイナリーを見学
させていただきました。イタリア人らしくない物静かな話しぶりは、学者のようなロメオさん。
清潔に整理整頓された貯蔵庫も案内してくれました。今年ももうじきブドウの収穫が始まるそ
うで、そうなると家族総出で大忙しになるとのことでした。





シエナのコープにて
豚の頭の中に肉や色々な内臓をミンチにして詰めて作ったハム。あまりの迫力についシャッ
ターを。





サン・ジミニャーノのレストラン ベル・ソッジョルノで
忘れられない絶品ソースのミルフィーユ。ソースの中身を聞いたところ、レモン、生姜、ハチミ
ツ、桃果汁などを使っているとのこと。桃のコンポートは果肉も皮もしっかり煮てあり八角も使
っているようでした。文句なしに素晴らしいスイーツでした。


2015-09-23 Wed(日々のコト

イタリア トスカーナへの旅②

■近隣の人々

・香坂ご夫妻
 娘たちの暮らす森から20分程のところに日本人のご主人、イタリア人の奥様、そして二人のお子様の
 ご一家が暮らしていました。奥様も日本に長くいらしたので日本語が堪能で、イタリア暮らしの短い娘
 にとっては日本語でお話ができる方が近くにいらっしゃってとても心強いと思います。ファウナの誕生
 をお知らせに伺い、有意義な時間を過ごしてきました。
 お二人も、日本にいた時からイタリアでパーマカルチャーな生活をしたいとイタリアを旅し、この場所
 に落ち着かれたとのこと。自然農法、手作りの味噌や豆腐などこれから娘が目指す生活の先輩として頼
 れる方がいらして安心しました。

 そして何故このエリアにイタリア以外の国々から移り住んでくるのか、お話が聞けました。このあたり
 は交通の便も悪く、早くから過疎化が進み、空き家や廃屋、放棄農地が多くあった所を30数年前から
 ドイツ人が家のリノベーションをして森の生活や農業を楽しみながらバカンスを過ごすようになったそ
 うです。そのうち実際に、パーマカルチャーな生活を実践しようとする人たちが定住し始め、今日に至
 っているそうです。地元のイタリア人も、自然を大切に守ってくれるならと、受け入れてくれているそ
 うです。

 今は、M.Labbro(モンテラブロ)標高1193mの“聖なる山”と呼ばれている山を中心に移住希望者
 が増えてきて、人気のスポットになっているとのことでした。モンテラブロにはチベット仏教の寺院も
 建てられており、多くの人が祈りに訪れているそうです。

・ヨヘンさん
 このエリアに初めて住み着いたのが、ドイツ人のヨヘンさん。もう40年にもなるようです。娘たちの
 森と家はヨヘンさんから譲り受けたもの。今年の6月まではヨヘンさんが住んでいた家が現在リノベー
 ション中のもの。森を開き、電気や水を引き、馬を飼い、オリーブ畑を作り今ある環境を整えた、まさ
 に開拓者ともいえる人です。

 このエリアをほとんど一人で切り開いてきたヨヘンさんですが、ちょっとおかしな癖があります。それ
 は森のあちこちに古いクルマやトラクター、大きなタイヤ、農機具や洗濯機やレンジ、家具やベッド、
 取り外したドアや窓など様々なものを置き捨ててしまうこと。はじめ見た時はなんとなく不気味な感じ
 がしましたが、見慣れてくると、あたかも森をキャンバスにこれらの物たちを絶妙に配置したスケール
 の大きな作品にも思えてしまうほど、マッチした景色に。私たちはこれを「捨て置かれたモノ達」と名
 付けて鑑賞していました。
 
捨て置かれたモノ達


・MIKIさん
 ご主人はミカエルさん、奥様はベレーナさん。お二人ともスイス人。
 やはりヨヘンさんから森を譲り受けたそうで、もう30年も住んでいるそうです。お二人とヨヘンさんと
 は、若いころインドで出会って仲良くなったのがきっかけとのことです。

 ファウナが森の家に戻ってきて、ディナーにご招待。ベジタリアンのご夫婦用に、日本から持って行った
 食材で五目ずし、こうや豆腐と昆布の煮しめ、卵焼きなど和食でおもてなし。美味しかったと気に入って
 いただきホッとしました。

■森の暮らし

 森の丘の南側にはオリーブの木が400本近く植えられています。11月が収穫期だそうで、秋はどこも
 大忙し。実を収獲したら精製工場に持ち込んで、実を買い取ってもらうかオリーブ油にしてもらうかがで
 きるそうです。
 今年は家のリノベーションとこのオリーブの収穫が二大イベント。いつも前向きなエレズでも大変な作業
 が待ち受けています。

 この森の離れの家に3年前まで住んでいたアルベルトさんは3歳と2歳の女の子のパパ。この二人のおさ
 がりがファウナにとたくさん届きました。
 私たちが帰った1週間ほど後に、ポルチーニ茸の季節になったのでキノコ狩りに来てくれたそうで、さす
 がに森をよく知る若者、カゴいっぱいのポルチーニを採ってきてくれたそうです。自分の森でポルチーニ
 茸が採れるなんて素敵です。

 来年からは本格的に自然農法をすること、丘に果樹を植えること、馬やヤギを飼うこと、水田を作ること。
 夢と計画は広がっています。
 森の暮らしが始まった年に新しい家族が生まれ、すべてのスタート台に立ったその瞬間を一緒に過ごせて
 感無量です。
 まわりの方々支えていただきながらまずは元気で、5年、10年、15年と夢を積み上げていってもらい
 たいと親として願うばかりです。次回はイタリアの食についての感想です。

丘の上のオリーブ畑


ポルチーニ茸


森で見つけた草花
2015-09-08 Tue(日々のコト

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